著作

『築地外国方事件始末 黒船の影』

黒船の影

内容/
下級幕臣の次男坊・藪内耕之介。剣術は得意だが、喧嘩っ早いのがあだとなって道場を破門されて以来、日々やることがない。??だが、時は幕末。浦 賀沖にやってきたペリー艦隊によって、日本の世情は一気に騒がしくなっていく。そして暇をもて余していた耕之介も、ある不思議な尼僧との出会いによって、 図らずも黒船騒動の渦中に身をおくことになる。アメリカ艦隊との交渉に赴く林大学頭を、反対派の襲撃から警護する一団に組み込まれたのである。

三浦半島、矢ノ津坂での待ちぶせ襲撃。船で江戸に帰還しようとする大学頭一行を追って敵のボートから発射される弾丸。等々力渓谷に迫り来る六人の 男たちの刃。島の砲台場を乗っ取り、通過するぺリー艦隊を砲撃しようとしている浪人集団。……次々と、執拗に仕掛けられる攻撃に、耕之介とその仲間は果た してどう立ち向かっていくのか?

黒船来航を舞台にして若き幕臣が疾駆する書き下ろし痛快時代小説、ここに誕生。

ブログ「松の間の床の間」から/
歴史物ではない、初めての時代小説で、文庫書き下ろしです。昨年『天璋院と和宮』が好調だったことから「シリーズ化できるような時代物を」との依頼を、同じPHP文庫からいただいたのですが、なにせ江戸市井物や捕物帳は自信がないし、けっこう悩みました。

せっかく歴史系に強いPHPなのだから、すべてフィクションにしても、背景には歴史を感じさせたいなと思い、いちばん得意としている幕末の外交や海防に、個性的なプロジェクトチームをからませて書いてみました。

ハリウッドのアクション映画みたいにしたいなと思ったのですが、実はチャンバラも、今ひとつ自信がなく、ならば舞台設定でなんとかしようと、東京湾の唯一の離れ小島である猿島に、真冬に取材に行ったり、世田谷の等々力渓谷に出かけてみたり。

カバー絵は、最近注目の横田美沙緒さん。しばらく前に青山で時代物の装丁画のグループ展があり、そこで出会いました。展示されていた作品のほかに、ネットで検索してみたら、ユーモラスな表現が上手で、ぜひ、この方にということになりました。

というのはタイトルが「築地外国方事件始末 黒船の影」で、内容の軽さとは裏腹に、えらくかたくなっちゃったので、そのギャップを絵で埋めてもらえないかなと思ったのです。構図も面白くて、期待通りの絵にしていただけました。

1冊500円。軽めの時代アクション小説です。旅のおともに。あるいはごろ寝のかたわらに。楽しんで読んでいただければ幸いです。

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